院長のひとりごと No287
9月になると新米が多く出回り始めますね。
色々と価格が落ち着かないお米ですが、よく噛むと「だ液」の分泌が促され消化や吸収がスムーズになるほか、自然の甘味を感じることができます。
お米をよりおいしく味わうためにも、日ごろからしっかり噛んで食べることを意識したいですね。
ところで、この「だ液」ですが、ときおりお口の中や唇に水ぶくれのような症状を引き起こすことがあります。
この小さな水ぶくれのような半透明の膨らみの正体は、「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」の可能性があります。
粘液嚢胞とは、お口を噛んだり傷つけたりすることで、だ液を運ぶ細い管が詰まってしまい、だ液の行き場がなくなって水ぶくれのようになってしまうものです。
見た目ほど心配なものではありませんが、舌の先や裏側・下唇にできやすく、痛みは伴うことはありません。潰れると中のだ液が出て小さくなりますが、しばらくするとまた溜まって膨らんでくる・・・というのを繰り返すのが厄介なところです。
粘液嚢胞の多くは自然に治ることはなく、効き目のある塗り薬や飲み薬もありません。根本的に治すには、原因となっている小さなだ液腺ごと嚢胞をとり除く外科的処置などが必要になります。
特に、舌の裏側のやわらかい部分に大きく膨らんだものが出来た場合は、放っておくと食事や発音に支障が出ることもあるため、早めの受診が安心です。
粘液嚢胞のほとんどは良性ですが、再発を繰り返したり大きくなったりする場合は治療を検討する必要があります。
また、まれにですが別の病気が隠れていることもあるため、自己判断で放置するのは禁物です。お口の中に気になる膨らみを見つけたら、ご相談下さい。
(文章協力株式会社シーエイチアイ)